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  • 2007.09.25 Tuesday
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Tomo Collection 我が心の陶芸


富本憲吉「白磁八角共蓋飾壷」1932年

 2月25日(日)まで、東京・虎ノ門のホテルオークラ近く、菊池寛実記念 智美術館で開催中。1月27日(土)午後3時から菊池智・林屋晴三対談「現代陶芸の魅力 展覧会から」、2月11日(日)午後3時からは乾由明講演「富本憲吉の人と芸術」も。問い合わせは03−5733−5131

    ◇

 美術館の創設者で菊池美術財団理事長の菊池智さん(1923−)が、50年余にわたる自らの収集品から、現代日本の陶芸作家19人の約50点を選んで紹介しています。板谷波山(1872−1963)や北大路魯山人(1883−1959)、加藤唐九郎(1898−1985)ら著名な物故作家から、戦後生まれの秋山陽(1953−)まで。選りすぐった作品ばかりを、米国のデザイナーであるリチャード・モリナロリ氏がデザインした空間に配置した、誠に贅沢な展観です。見終わって、心が洗われるような、清々しい気分が残りました。


 「どんな基準で、コレクションされたのですか」の問いに、菊池さんはこう答えました。「可愛いもの、強いもの、妖しい美しさを備えたもの。このうちの一つでも該当する見所があれば、衝動的に買い求めて来ました。父の目を盗んで、小遣いで集めたような品ばかりですから、たいしたものはございません」
 白磁八角共蓋飾壷(高21.5cm)は、富本憲吉(1886−1963)が世田谷区上祖師谷で暮らし始めて間もない時期、華麗な色絵に取り組み始めたばかりの1932年の作。中国にも、朝鮮にも見られない造形が、初々しい印象を与えます。暮れなずむ光の中でこの作品を見た時、背筋が冷たくなるような「妖しい美しさ」に、息を呑む思いだったそうです。文様のみならず、形についても独創にこだわり続けた富本の、潔癖な精神を垣間見る気がします。


 石黒宗麿(1893−1968)の緑釉壷(高22.7cm)は、それまでなかった新しい美しさを表現した作品でしょう。白化粧した素地に斑点状に蝋(ろう)を置き、鉛を媒熔剤とする緑釉を刷毛塗りして、低火度焼成しています。一見無造作に見えますが、溶けて流下する釉による斑文の変化や、意図的に残した轆轤目(ろくろめ)との交叉が生み出す効果も、織り込み済みだったはずです。富山県が、展示品とほぼ同形の失透釉壷を1953年に購入しています。同時に買った緑釉短頚壷にも今回と類似の加飾が見られることから、1950年代前半の製作と考えてよいでしょう。


 「本当に素晴らしい作品ですね」

 加守田章二(1933−83)の曲線彫文壷(高24cm)をひと目見るなり、菊池さんはこう言ったそうです。銀座のギャラリー無境店主塚田晴可さん(1951−)が開店資金の捻出に苦しみ、虎の子のこの壷を売りに行った10年余り昔の話。それまでに幾度か持参した普通の品には見向きもしなかったのに、何故かこれだけが琴線に触れたようです。菊池さんの、目の厳しさを物語るエピソードだと思いませんか。この壷からはエネルギーと祈りの心が感じられます。


 栗木達介(1943−)の黄鱗文巻弁陶(高40cm)は、完成された「強い」形に、目を凝らして見るような鱗文の「妖しい美しさ」を併せ持っています。背後には、冷徹な計算と高い精神性を秘めています。『これを貴女に持っていて欲しい』と、作家から直接譲り受けたのだそうで、「この方の作品に込められた深い思いには、常々敬服しています」と菊池さん。


 現在、美術館が建っている場所にあった菊池ゲストハウスで、1990年10月に樂吉左衞門(1949−)の個展「天問」が開催されました。毎日新聞の美術記者だった田中幸人(1937−2004)さんとこの水指(高17cm)を見て驚き、「ハンドバッグみたいだなあ」と互いに顔を見合わせたのを思い出しました。この衝撃的な展覧会は、樂さんの実質的デビューと言ってよい内容で、菊池さんも「湧き上る思いが形になった」と高く評価しているようです。破天荒な造形の茶入や鮮烈な彩りの茶碗と合わせて、十五代という重みと、それを背負う苦しさが作らせた「妖しい美しさ」と見てよいでしょう。


 学芸員の花里麻理さんによると、美術館名の菊池寛実(かんじつ、1985−1967)は茨城県高萩市の炭鉱オーナーで、智さんの父親。智さんは戦時下、炭鉱に徴用された瀬戸の陶工の仕事ぶりに接し、やきものに目覚めたことから、その契機をつくってくれた父に因んで命名したそうです。1974年、ホテル・ニューオータニのロビー階に、ギャラリー現代陶芸寛土里をオープン。1983年2月にはワシントンのスミソニアン自然史博物館で自らのコレクション約300点による現代日本陶芸展を開催します。この展覧会はロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館にも巡回し、初の本格的な現代日本の陶芸展として注目を集めたそうです。


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